キラキラ

目をあてたくないほども一部。クローゼットの最果てから更新中。

増長

電車やバスが私を迎えに来てくれるのは時刻表の紙媒体でしか知ることができなかった田舎で生きていたからそれが私の普通であったからそれでいいと思っていた。電車は人身事故や鹿が飛び出したり、天気が荒れたりしない限りはとくに遅れない。バスは遅れるのがしょっちゅうだからあてになんてしていなかった。
18になって高校を卒業して大学に進学したから一人暮らしをはじめた。仙台に住みはじめて移動手段としてバスを利用するとこが格段に増えてそのたびに私の当たり前は更新されていった。バス停に電工電子板があって自分ののりたいバスが今どこら辺にいてあとどのくらいで私のもとに来るのか一目で確認できるようになった。楽になったのだと思う。そのうちそれすらいちいち感じないほどに、見るのが当たり前で何も思わなくなった。むしろないといらいらして今どこにいるのかわからないし、私がのり遅れただけのバスにいちいち感情をぶつけたいくらいには今日の私にはなんもない。それ以外にやることはあるのに、当たり前に甘えて増長させてしまった期待がいたい。なんもない頃にもどりたい。かもしれないけど、きっと私はやめられない。それには時間がかかるから。